乳がん怖いよ 
ワキ毛を剃って制汗剤を塗るとガンになる。米国発の怪情報が、インターネット網をかけめぐっています。ノン制汗のデオドラント剤の売上アップを狙ったウェブサイトが、怪文章の出所ではないかと推測されていますが・・

背景は胡散臭くても、その内容はキッパリ断定的で、自信にあふれています。全米が震え、管理人もぶるっときました。怪文章の言わんとすることは正確なのか、検証してみます。



「いったい、何の話??」 ここまで読んで、話がワケワカメのひとは、前編を読んでくださいね

ガン関連のエキスパートによる検証

 

考察・検証といっても、すでにオロオロ狼狽してちびっているような管理人に、正誤を判定する専門知識はありません。なので、適任者を探してきました。

人物というよりは団体です。100年の歴史をもち、年間1兆円近い予算を寄付でまかない、全米3400拠点で癌患者とその家族をサポートする活動を展開する非営利団体、ガンの研究・調査にも定評のある「アメリカがん協会」を抜擢しました。
antiperspirant(制汗剤ね)cancer(癌ね)でぐぐると、検索結果のどうどう首位に鎮座するのが、怪文書にたいする同協会の声明ページです。グーグル先生の信頼も厚いようです。※注 現時点では「アメリカ国立がん研究所」の声明ページが1位表示されてました。まじめな読者さんが前編のリンク踏んで入れ替わった?謎です。でもこちらのほうが丁寧で詳しいので、詳細は下のリンク先でどうぞ。

その道の権威が怪文章を斬る 

全米を震撼させ、関係各位への問い合わせを激増させた「制汗剤とガンリスク」の内容は、科学的なエビデンスをともなうものなのか、権威によるツッコミをみていきましょう。
~こんな内容がネットで拡散~(黒字)
~アメリカがん協会のツッコミ~(赤字)
制汗剤に含まれる発がん性物質は、ワキ毛剃りでできる切り傷から皮膚に吸収されます。
⇨ワキ毛剃りの切り傷には、皮膚感染症のリスクがあります。切り傷に制汗剤を塗ると、ヒリヒリするかもです。傷から多量の発がん性物質が吸収され、乳腺細胞に達することはまずありません。

制汗剤によって発汗が止まると、発がん性物質は体内に残り、ワキのリンパ節に蓄積されます。それらはやがて、細胞を癌化させる濃度に高まります。
⇨リンパは細菌やウィルス・有害物を体外に排出しますが、汗腺とはつながっていないので汗では出しません。腎臓や肝臓の働きで、尿や便にまざる胆汁で出しています。

乳がんの大半は、乳房のアッパー部分アウター側にできます。乳首でクロスする縦と横の線をひき、4つに分けた乳房の上部の外側の部分です。わきの下に一番近い部分です。
⇨乳がんの半数は、乳房のアッパー部分アウター側にできます。ほかの箇所にくらべ乳腺細胞が多いため、ガンの数と比例するのでしょう。制汗剤の利用やワキ毛剃りとの関連はありません。


男性はわき毛を剃らないので乳がんのリスクは低く、わき毛が制汗剤の化学物質を吸着し、皮膚に吸収されるのを防いでいます。
⇨男性に乳がんが少ないのは、ワキ毛を剃らないからではありません。乳腺細胞数が女性の1/100程度しかないことと、女性ホルモンの影響によると考えられます。

参照:American Cancer Society 制汗剤と乳がんリスク

アルミニウムやパラベンの癌との関連性は?

怪情報の内容は、いろはのいから間違っているので、専門家が書いたものではないようです。リンク先で分かりやすくアカデミックに、アホ抜かせと論破されています。

記事で紹介した2つのリンク先では、アルミニウム系の成分やパラベンについても言及しています。前者に関しては、ごく微量のアルミニウム成分が、乳がん組織で見つかったと記載があります。しかし、正常な乳腺細胞にも残っていたので、ガンとの因果関係は認められていません。
制汗剤から吸収されるアルミニウム成分は、わずか0.012%で、食べた食品から吸収される量のほうがずっと多いと指摘しています。これらの事実から、制汗剤による乳がんリスクは、根拠がないと結論しています。
パラベンは、食品や化粧品・医薬品などに防腐剤として使用されています。人の尿を調べれば、全人口の99%から、パラベンが検出されるはずです。日本でも用途と分量を限定したうえで、食品への添加が許可されています。
乳がんに関しては、パラベンは弱いエストロゲンのような作用をし、ガンを進行させる可能性があると指摘しています。けれども体内で生成される女性ホルモンの作用にくらべると、数百・数千分の1程度と弱いものです。自然界にはエストロゲンににた作用をもつ物質がほかにもたくさんあります。パラベンによる健康被害を実証すると認められた研究は、乳がんを含めてありません。
米国のメジャーな制汗剤の大半は、パラベンフリーです。日本の制汗剤ではエージデオがパラベン無使用で、エイトフォーやBANには配合されています。
で?って感じですが、やだなーと思うひとは、食品からファンデ、メイクアイテム一式、ボディソープやシャンプーを購入するさいに成分表に目を光らせて、パラベンの文字を見つけたら買わなきゃいいだけですよ、とリンク先の中のひとが書いてました。
ワキ毛を剃って制汗剤を使うと乳がんになるという噂は、根拠のないデマでした。 史上最悪の酷暑と予報がでているこの夏も、ワキをジャングルにすることなく、安心して制汗剤のお世話になれそうです。

ワキガの臭いはセルフケアで解決できる