蜘蛛より先に、手を数えろ
Episode 31「傘の先の小さな客。」を制作していたときのこと。
傘の柄に小さな蜘蛛。
Miaがそれに気づく。
いいカットができました。
……と思ったら。
何かがおかしい。
蜘蛛ではありません。
Miaです。
6本の指、3つの手
まず静止画を作ったイメージ君がやりました。
指が6本。
AI画像では有名な失敗ですが、実際に自分たちの作品で見るとなかなかの破壊力です。
もちろん、このままでは使えません。
ところが話はここで終わりませんでした。
修正した静止画をKlingで動画化すると――
Klingが勝手に3つ目の手を追加しました。
頼んでません。
蜘蛛は一匹でいいし、Miaの手は二つで十分です(笑)。
なぜAIは手や指を間違える?
AIは、人間のように、
「人間の指は基本5本」
「腕は左右に1本ずつ」
という身体の構造を理解して絵を描いているわけではありません。
大量の画像から「手とはこういう見た目」というパターンを学習して、画像を生成します。
特に、
- 指が重なっている
- 物を握っている
- 手の一部が隠れている
- 左右の手が近い
- 複雑な角度から見えている
といった場面では、どの線がどの指なのか曖昧になります。
今回の傘はまさにそれ。
手+指+傘の柄+蜘蛛が狭い範囲に集中しています。
AIにとっては、かなり面倒な場面です。
静止画が正しくても、動画で手が増える
ここがAI動画のさらに厄介なところです。
元画像では正しい手でも、Image-to-VideoではAIが「次の瞬間」を新しく作ります。
Miaが手を動かす。
傘を動かす。
指の位置が変わる。
元画像には存在しない部分をAIが推測する必要が出てきます。
その結果、
さっきまでなかった手が生える。
今回の犯人はKlingでした(笑)。
防ぐために私たちがしていること
完全に防ぐ方法はありません。
だからQuiet Frame Studioでは、生成前と生成後の両方で確認します。
静止画では、まず手と指を数える。
顔がきれいだと、ついそちらに目が行きます。でも動画化する前に、指の本数、左右の手、物を握る位置をチェックします。
そして動画では、手に複雑な動きをさせすぎない。
特に物を持つ、つかむ、持ち替えるといった動作は崩れやすいため、一つの短いカットに動作を詰め込みすぎないようにしています。
それでもおかしくなったら、無理に使いません。
再生成するか、正常な部分だけ短く切り出します。
AIは、ときどき勝手に人体を増築する
生成AIはずいぶん進化しました。
顔もきれいになり、髪や服の動きもかなり自然になっています。
それでも、油断すると――
指が一本増える。
さらに動画にすると、
手まで一本増える。
Episode 31で本当に警戒していたのは蜘蛛だったはずなのに、制作側が最後に数えていたのはMiaの指でした。
AI画像・AI動画を作るときは、完成した瞬間に喜ぶ前に一度確認しましょう。
顔よし。背景よし。光よし。
そして、
手は二つ。指は五本ずつ。
よし(笑)。
