AI動画で同じキャラクターを保つには?
Quiet Frame Studioには、Miaという主人公がいます。
黒髪のボブ。23歳。
毎回同じMiaに登場してもらう。文章にすると、それだけのことです。
ところがAIで画像や動画を作り始めると、これが意外なほど難しい。
髪型も合っている。年齢もだいたい合っている。服装も指示どおり。そして出来上がった画像を見る。
……誰?

これが、私たちがAI動画制作で何度も経験した「キャラクターの一貫性」の問題でした。
条件が同じでも「同じ人」にはならない
最初は、人物の特徴を詳しく書けば同じキャラクターになると思っていました。
黒髪。ボブ。若い日本人女性。服装。表情。
条件を増やせば精度も上がる。確かに、ある程度は近づきます。
でも、それだけでは足りませんでした。
なぜなら、「条件を満たした人物」と「Mia」は同じではないからです。
人間は、目、鼻、輪郭などを一つずつ確認して人物を認識しているわけではありません。
顔全体のバランス、表情、髪の形、雰囲気。それらをまとめて見て、「あ、Miaだ」と判断します。
だから条件上は正解でも、顔のバランスが少し変わるだけで別人に感じます。
私たちは「基準になるMia」を決めた
そこでQuiet Frame Studioでは、文章だけでMiaを定義するのをやめました。
「このMiaがMia」という基準画像を持つ。

これが大きな転換点でした。
新しいシーンを作るときも、毎回ゼロから人物を生成するのではなく、可能な限り基準となるMiaを参照して制作します。
これは顔だけの話ではありません。
髪の長さ。前髪。体格。年齢感。表情の作り方。こうした要素も含めて、Miaというキャラクターです。
静止画でMiaでも、動画にすると別人になることがある

もう一つ困ったのが、静止画では完璧だったのに、動画にすると顔が変わるケースでした。
Image-to-Videoでは、一枚の画像からAIが次の瞬間を推測して作っていきます。
人物が顔を横へ向ける。目を閉じる。笑う。カメラが近づく。
こうした変化が大きくなるほど、元画像には存在しなかった顔の情報をAIが補う必要が出てきます。
そこで突然、新しいMiaを発明し始めることがあります。
頼んでない(笑)。
顔を守るために、動きを欲張らない
この経験から、Quiet Frame Studioでは人物を必要以上に動かさないようになりました。
たとえば、髪が少し揺れる。視線だけ動く。ゆっくり顔を上げる。服が風でわずかに動く。
それだけでも映像は成立します。
逆に、大きく振り返る。激しく動く。表情を大幅に変える。複雑な動作を一度にさせる。こうした指示は、キャラクターを維持する難易度も上げます。
これは後にQuiet Frame Studioの映像そのものにも影響しました。
動かせるから動かすのではなく、必要だから動かす。
結果として、その方がQuiet Frameの静かな世界にも合っていました。
顔だけ守ればいいわけでもなかった
キャラクターの一貫性というと、どうしても顔に注目します。
でも制作を続けていると、それだけではないことにも気づきました。
同じMiaなのに急に背が高い。髪が長い。年齢が違って見える。部屋にいるのに突然違う服を着ている。
こうなると、顔が似ていても視聴者には違和感が残ります。
そこで私たちは、顔+髪+体格+衣装+そのEpisodeの環境をまとめて確認するようになりました。
「完璧に同じ」より「Miaだと感じられるか」
AIでキャラクターを完全に固定する技術は、これからも進化していくでしょう。
でも私たちが作品を作るとき、最終的に見ているのは数値ではありません。
画像を開いて、この子、Miaだね。と思えるか。
逆に、どれだけきれいに生成されていても、誰?と思ったら使わない。
かなり人間的な判定です。
AIとキャラクターを育てる
最初からMiaが安定していたわけではありません。
別人になったり、少し大人っぽくなりすぎたり、思っていた表情と違ったり。何度も作り直しました。
でも、その失敗のおかげで、「Miaらしさとは何だろう?」を私たち自身が考えるようになりました。
AIにキャラクターを固定してもらうだけではなく、人間側もキャラクターを理解していく。
それもAIと作品を作る面白さなのかもしれません。
そして今でも、ときどき現れます。
黒髪ボブで、年齢も服装も合っていて、画像としてはとてもきれいな女性。
でも――
君は誰だ。
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